・思いがけない縁

先日、毎年調律に行っているお客さんから紹介されたという南区の方から、とつぜん調律依頼の電話があり訪問すると、60歳を過ぎたくらいのやや白髪まじりの奥さんが出迎えてくれた。

ピアノの蓋を開け調律の記録カードを取り出してみると、前回は25年ほど前で、当時岩見沢をエリアにしていた調律師の名前が記されている。
「以前岩見沢にお住まいだったのですか?」とたずね、
「私も昔は岩見沢に住んでいたんですよ」などと話をしているうちに、30余年前に教育大岩見沢校を退官され、当時駆け出しの僕が何度か調律をさせていただいた音楽科のA教授 (女性) のお嬢さんであることが判明!
そのA教授の弟子は僕の高校時代の音楽のM先生で、僕が調律の道を選んだときにも相談にのっていただいた恩師である。

偶然の出会いに驚き「(A教授は) いま98歳で体は不自由だけど施設で元気に暮らしてます。毎年M先生夫妻が誕生日にお花を持って見舞いに来てくださるんですよ」と、昨年一緒に撮った写真を見せていただいた。

そして今日は手稲区の妹さん宅の調律。どちらもお子さんたちが独立してからピアノも放置されたままで、作業は分解して掃除するところから始まり、25年ぶりに蘇ることとなった。
お二人とも60代なので、僕の記憶にある当時のA教授と見事に瓜二つ!タイムトリップしたような感覚と時の流れを実感させられる不思議な出来事だった。

夜帰宅してから、恩師のM先生に電話でこの偶然を報告。しばらくご無沙汰しやや疎遠になりつつあったM先生との距離をも修復してくれる。「縁」とはやはり目に見えないところで支配されている不思議なものなのか・・・。