・きのうの「宝示戸×瀬尾ライブ」

NMA2008-01-26


「宝示戸亮二×瀬尾高志DUO」おかげさまで満席の大盛況かつ見応え十分の内容でした。来ていただいたお客さん、協力していただいた皆さんありがとうございました。また開演直前に席を詰めていただいたりご協力ありがとうございました。

初共演とあってスタートはお互いの様子見の感でしたが、二人のバトルは一分の隙もなく緊張感に満ち満ちながらすべてのお客さんを釘付けにし、2時間弱のライブを終えました。

ライブの詳細を途中まで書いたけど、つい先ほどマイミク関係になったマサさんが素晴らしく的確なレビューを書かれているので、企画者の僕が書くよりもそちらを読んでいただきたいと思います。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=695362301&owner_id=9411597

深く瞑想する人、座ったままゆったりと手と上半身を動かしダンスをする人(あの動きはたぶんダンサー、パフォーマー?)、こらえきれずに笑いを洩らす人・・・それぞれ思い思いに心に脳裏に刻まれた時間を共有したことでしょう。
企画者の僕でさえも絶妙のDUOだったと思うし、僕の独断ですがこのデュオは間違いなく世界で通用するレベルだったと断言します!

宝示戸くん、瀬尾くん、ありがとう!!

開演前のミュージシャン紹介のMCを、予約のお客さんを待ってスタートが遅れていたので手短に済ませてしまったので、このライブを企画するまでのいきさつをこの場で補足します。

宝示戸くんと出会ったのは1985年2月、深夜のジェリコだった。3月のジョン・ゾーン "GAMES AMONG FRIENDS" のフライヤー配りで訪れたとき、カウンターにうつむきひとり酒を呑んでいたのが宝示戸くんだった。H大を卒業して1年サラリーマンをやったけど、もっとライブ活動がしたくて仕事を辞めたという。「ジョンのライブにきてみないか!」と誘ってジョンを見た彼は、「ジャズって好きなようにやっていいんですねっ」と言った。90年3月、大友良英の札幌初ソロライブのアンコールで共演をけしかけたところ、大友くんが「東京デビューの機会を作ります」とその秋に新宿ピットインで「梅津和時+プレイヤーピアノ+宝示戸亮二」が実現。同時期に大友自身の招聘で「デビット・モス・ジャパンツアー・札幌ライブ」に共演することになり、宝示戸は「モスに対抗するには鍵盤だけでは太刀打ちできない」と発泡スチロールやトイなどを持ち込む独自の内部奏法を考案した。以後、ネッド・ローゼンバーグ、ジョン・ローズ、姜泰煥、トム・コラなどなどNMAが招聘した国内外のインプロヴァイザーと共演を重ねる。また、評論家・副島輝人さんの紹介で初のロシアツアーをきっかけに、毎年ロシア、北欧のフェスティバルやコンサートに出かけている。
瀬尾くんが昨年10月にツアーをした高瀬アキさんと、11月に東京・武蔵野公会堂でのピアニスト十数人出演のイベントで宝示戸が連弾したというのも不思議な偶然を感じてしまう・・・。

瀬尾くんとの出会いは6,7年くらい前?彼がまだH大生当時。NMAライブのたびに「スタッフやります!何人必要ですか?」と、「3人たのむ」「5人になったけどいいっすか?」という調子でNMAライブを毎回見るようになった。3、4年前の「井野信義×斉藤徹ベース・デュオ」の打ち上げがきっかけで、彼自身で井野さん徹さんを招いてワークショップを開き、コントラバスによるアンサンブル『漢達の低弦〜オトコタチノテイゲン』を主催。また石田幹雄トリオでの活動など、ジャズベーシストの枠を超えインプロヴァイザーとしても意欲を見せていた。そして先秋ベルリンから来日した「高瀬アキ×瀬尾高志DUO」に立ち会った僕は、彼の著しい成長を目の当たりにし、数日後に電話で「宝示戸亮二くんとやってみないか?」と提案すると「ぜひやりたいっす!」というわけで今回のライブになったというのがいきさつでした。


ということで前置きが長くなりましたが、僕が言いたいのは二人に共通する大切なことで、ともに自ら視野を広げてどん欲にチャレンジする気概と行動が道を切り開いたということです。

昨夜のライブには、ミュージシャンあるいはミュージシャンを目指す若者たちも多かったと思いますが、宝示戸くん、瀬尾くんのように「拠点が札幌であろうとなかろうと音楽を求め続けることができる!」ということが実証されたライブだったというもう一つの大きな意義があったと思います。

打ち上げで瀬尾君が「アメリカでは経験したけど、次はヨーロッパへ行ってみたいんです!」という言葉が印象的で嬉しかったし、今の気持ちを強く持ち続ければきっと実現すると思う。
僕が25年間活動してきた大きな理由の一つは、彼らのようなミュージシャンに続いて次々と若い人たちが育ってくれる状況を期待し続けてきたからでもあります。
魅力あるミュージシャンと聞き手がいるところには世界中から魅力あるミュージシャンが集ってくる、聴きたいライブがもっともっと身近になる、そんなことを望んでもう少しがんばってみようと思う・・・。

二人と満員のオーディエンスに触発されたライブでした。