・かがり火コンサートとKOKOPELLIライブ日記


南福島町・福島大神宮境内土俵で開かれている「かがり火コンサート」は、1996年に、札幌在住の染色家・長谷川雅志さんが、訪れていた福島大神宮で先代の常磐井武宮宮司さんと意気投合し、「境内で布のインスタレーションとライブをやろうと盛り上がっているのでミュージシャンを紹介してほしい。」と、1本の電話をかけてくれたのが事の始まりだった。(写真はコンサートのフライヤーと制作中の長谷川さんのアトリエ)


と言うわけで、かがり火コンサートでは毎年出演アーティストをNMAが紹介しているが、第16回目の今年は、さがゆき(vocal,voice)+林正樹(piano)のユニット「KOKOPELLI」。
25日(月)札幌・くう、26日(火)苫小牧・アミダさまでもライブを行った。


福島町には古くから伝わる「松前神楽(福島町無形文化財松前神楽保存会)」があったが、神事としての活動のみでメンバーも近隣の宮司さんたちで高齢者が多かったため、「かがり火コンサートで披露して次の世代に伝承するきっかけになれば。」ということになり、1999年に初めてコンサートの第一部として奏上することになった。その効果は期待通りで翌年からは地元の高校生から小学生までもが次々と参加し、今ではすっかり若返ってはつらつとした「松前神楽」の舞に、客席から「よーそろー」と褒め称えられるまでに定着した。



コンサートの前日、由仁町のお寺でアルファードを借りる。住職も音楽好きでもあり「お寺のクルマは檀家さんのもの、いつでも使って!」と理解があるのでとても助かっている。


かがり火コンサートは野外でピアノがないので、ヤマハ本社から提供して送ってもらったステージピアノをアルファードに積んでみたところ、7人乗りのシートが3人分犠牲になったのでピアノのケースに乗ってもらうことになり、住職が座布団を数枚貸してくれた。


<23日 道南福島町・第16回かがり火コンサート>


朝、染色家の長谷川さんと、数年前このコンサートに魅せられてチラシのデザインを自ら申し出てくれた高名なデザイナー・市川義一さんと3人で札幌を発ち、函館空港でココペリの二人を乗せると長谷川さんがピアノケースの上に寝そべって3時半ころ福島町に着いた。



樹齢500年といわれるヒノキや杉の巨木に囲まれ蝉の声が響く神宮の土俵は、町の実行委員の手により準備が進められており、長谷川さんの布によるインスタレーションが背景を飾り木々を通り抜ける風になびく。工事現場で使う照明器具も活躍するまさに手作りなのがこのコンサートの魅力でもあり、ココペリの二人も感動!!
今では函館方面からはもちろん札幌や東京からもその魅力に惹かれてたくさんの人々がやってきて、社務所での打ち上げはさながら社交場となっている。


6時半から「松前神楽」、


夕闇が迫る頃にはステージ両脇のかがり火が「パチパチ」とはぜる音と蝉の鳴き声の中ココペリが登場。
アルバム「spirit of the Forest」収録曲に新曲を加えたオリジナル中心のステージは、優しい歌声に乗せた歌詞と声を楽器のように操るヴォイスパフォーマンスで巫女になったかのようなさがゆきさんと、独自のセンスでジャンルにとらわれない林正樹さんのピアノが神宮の森に響き客席をあたたかく包み込んだ。
PAスピーカーから流れるヤマハステージピアノの最高機種CP1も、コンサートグランドピアノをサンプリングし音源としただけあって生ピアノと遜色なく、林さんの魅力を引き出していた。


最後に恒例の松前神楽選抜の3人と打ち合わせなしのセッション。
ゆきさんが土俵上に座ろうとするとスタッフがあわてて座布団を差し出すシーンも微笑ましく、林さんも中腰になってシンプルかつインパクトのある音で3人の音を誘いだす。あっという間に5人の音が溶け合ってクライマックスに・・・

演奏後ゆきさんに座ったわけを訊いてみると「なぜかインスピレーションを感じたから」と。たぶん、座って演奏する神楽の3人と同じ目線になることですべてを引き出せそうに感じたのだろう。

やさしくしっとりと歌い上げたアンコール曲「五月の風の中で」は、コンサートのテーマ "自然との調和"の通り全てを包み込み共有し、毎年かがり火コンサートを楽しみに集まってくれた町の人々や遠来の人々の心に今年も深く刻まれたことだろう。



人口5,000人あまりの小さな町でもこのようなコンサートが成立する現実を、住む人々の誇りとして心豊かに後々まで受け継がれてほしいし今後も尽力したいと思う。



<25日 札幌@くう>


野外から一転したライブハウスくうでは、生ピアノでPAも生音を補助する程度の好条件。ココペリの魅力を細部にわたって堪能することができた。


<26日 苫小牧@アミダさま>

アミダさまは名物マスターツルさんで有名。
19:30開演なのにいつも30分押しはお客さんも想定ずみで、8時にはほぼ満席になった。さすがツルさん! ツルさん独特の思いやりあふれる?ヤジにステージも客席も一気に熱くなり、「アミダさま流ライブ」は健在!!
また、前日ゆきさんが大通公園を散歩してナンパした可愛い犬のハイジちゃんも、飼い主の方が連れてきてくれて盛り上げてくれた。
打ち上げでは感動したハイジちゃんが、ゆきさんにアツアツのチュー攻勢で喜びを爆発させるというハプニングも。
ライブも道中も楽しいツアーだった。



さがゆきさん、林正樹さん、福島町のみなさん、
くうとアミダ様とお客さん、
ありがとうございました。


CD「KOKOPELLI/Spirit of the Forest」
初日の福島町で売り切れたため、札幌のお客様には申し訳ありませんでした。急きょ送ってもらったのでご希望の方はお知らせください。¥3,000 です。


<前の日記>でツアーの写真も重複していますがご覧ください。