・道新カルチャーplus 沼山良明の「されど音楽」vol.1


久しぶりの更新です。
3月6日(金)から5月まで毎週金曜日夕刊に道新のコラムを執筆することになりました。
新聞を購読されていない方にも興味があれば読んでいただけるようブログに掲載することにしました。
字数は700字、幅広い道新読者のみなさんに考慮したわかりやすい内容を心掛けて書こうと思っています。

vol.1 未来を拓いた出会い

 僕の人生に未来を拓いてくれた最大の出会いといえば、昨年83歳で他界された世界的なジャズ評論家でプロデューサーの副島輝人さんだ。副島さんは70年代から、世界最新のジャズを聴かせる「メールス・ニュージャズ・フェスティバル」(ドイツ)に毎年出かけ、日本のミュージシャンを紹介し、同時に同祭の様子を撮った8ミリ映画を全国を行脚し解説しながら紹介されていた。僕がその映画を初めて観たのは70年代末で、それまでジャズを聴き漁ってきたはずの僕だが未知の領域にはまり、83年にその新しい音楽を確かめようとドイツへ渡った。
 4日間のフェスティバルは「知らないミュージシャンが多く出演する年ほど面白いんだよ!」と副島さんに聞かされていた通りの衝撃だった。
 その恩人ともいえる副島さんが他界された昨年7月は、札幌国際芸術祭に関わっていたのでお別れ会に出席できず、年末に新宿で盛大に行われた追悼ライブにも行けなかったので、先月ようやく東京狛江市の奥様宅を訪問。数年前と全く変わらない本とCDとレコードに囲まれた部屋の遺影にお花を手向け、生前お世話になったお礼とお別れをしてきた。
 副島さんは自分の死期を悟って2ヶ月前のフェイスブックで何やらお墓の住所らしき所へ引っ越すと書いていたり、お別れ会には生前録音していたメッセージでみんなを泣かせたり笑わせたり、会の構成まで事細かに指示していたというから驚きだ。あの世でもきっと名プロデューサーであり続けることだろう。