・道新カルチャーplus 沼山良明の「されど音楽」vol.4



 昨年1月に親しい若者達と妻が幹事となり、僕の古希を祝って身に余るパーティーを開いてくれた。サプライズのビデオメッセージは、どれも涙が出るほど嬉しかった。その中にニューヨークのサックス奏者吉田ののことジョン・ゾーンのメッセージがあった。ジョンは「沼さーん70歳おめでとー」と流暢な日本語で。
 ののこを知ったのは15年前、彼女はまだ中学生で、岩見沢の自宅にピアノの調律に伺った時だった。高校生になる頃サックスの先生について相談を受け、最も信頼している小樽の奥野義典さんを紹介した。やがて高3になり進路について迷っているとき、「東京に出るのもいいけど、ニューヨークやヨーロッパもあるよ」と提案したところ、後日ニューヨークへ行くことに決めたという。
 ニューヨークへ旅立つにあたり、「向こうで困ったことがあったら訪ねてみたら」とピアニストの藤山裕子さんを紹介したところ、渡米後間もなく藤山さんと会い、その足でニューヨークで最先端の音楽を聴かせるライブハウス「ザ・ストーン」に連れて行かれたと聞いて彼女の運命を予感した。運営しているのはジョン・ゾーン!ジョンは前にも述べたがドイツのメールス・ニュージャズ祭で、僕が2度も衝撃を受けた有名なサックス奏者でありプロデューサーなのだ。また84年と85年に札幌に招きライブを開いたこともある。
 ののこは学校に通いながら、ザ・ストーンのスタッフとして修行を積み、数年前に自己のグループでメールスにも出演するほどに急成長した。
 その彼女が帰省中の今月29日に、札幌でソロ・ライブをやるというので楽しみであり、さらに大きく飛翔してほしいと心から願っている。

(NMA音楽プロデューサー)