・道新カルチャーplus 沼山良明の「されど音楽」vol.6



 アイドル天野アキを演じる能年玲奈がお茶の間を沸かせた、NHKの朝ドラ「あまちゃん」が終わってもう一年半になるが、4月6日からBSで再放送が始まっている。当時「あまロス症候群」といわれた熱烈なファンにとっては嬉しい。
 ドラマで音楽を担当したのはギター&ターンテーブル奏者で作曲家の大友良英で、軽快で親しみやすいテーマ曲は早速夏の甲子園のスタンドに響き渡った。
 その大友良英とNMAとの出会いは、今から30年ほど前の84年、「孤高のギタリスト」といわれた高柳昌行の北海道ツアーに助手として同行したことがきっかけで、当時彼は25歳という若さだった。札幌でのライブの夜、ホテル代を節約するために、当時一人暮らしの僕の部屋に彼だけ泊まることになり、音楽談義が尽きなかった。その真摯な姿に「ただの青年ではないぞ!」と予感した。
 それから間もなく「ジャズライフ」誌で世界最先端の音楽を紹介する彼の連載を読み、度々手紙とともに送られてくるカセットテープで彼の音楽を聴き、ますますその非凡な才能に惹かれるようになった。
 やがて5年が過ぎたある日「ラテンバンドのトラ(エキストラ)で北海道に行くついでに、今の僕の音楽を聴いてもらえませんか!」と手紙が届き、90年3月5日札幌初のライブをソロで開いた。客席はなんと10人ほど。まな板にネックを付けて弦を張った自作ギターとターンテーブルを、凶暴なまでに駆使した世界最先端のノイズミュージックに圧倒された。
 こうして大友良英とNMAの関係は始まり、テレビやラジオで引っ張りだこになった今も、ライブではつねに新しい音楽を聴かせてくれる。

  (NMA音楽プロデューサー)